更新日時:2020年6月21日
行政書士 佐久間毅
配偶者ビザの期限が近づいてきたけど、どうすればいい?
在留カードで確認できる在留期限の3ヶ月前から更新申請ができるよ。
1日でも過ぎてしまうとオーバーステイだから十分注意してね!
配偶者ビザの更新は簡単なの?
不許可にならないか心配で。。。
配偶者ビザの更新は運転免許の更新のように更新されるのが当たり前というものではないから気をつけてね。
ボクがしっかりナビゲートするよ!
【解説】
在留資格には有効期限が設けられていて、在留資格「日本人の配偶者等」の在留期間は、6ヶ月、1年、3年、5年です。在留カードに記載された在留期限が来る前に、更新申請をする必要があります。
在留期限の3ヶ月前から更新許可申請をすることができ、許可されれば新しい在留カードが交付され次の在留期間が設定されます。一方、不許可になれば日本を出国する必要があります。
審査項目は、この1年の世帯収入、婚姻の真実性、素行の善良性、初回や前回の申請に虚偽がなかったか、納税状況などです。
①1年間の世帯収入
世帯年収が扶養家族を養うに十分であるかがチェックされます。
扶養家族は同居している家族だけでなく、扶養にいれた海外のご家族の人数、養育費を支払う必要がある別れた前妻との間の子などが含まれます。
同居されているご家族のみを考慮されていると足元をすくわれることがあります。
これまでご実家に住んでいたが、独立してご両親とは別の住居に住むこととなった方もご注意ください。これまでの収入では足りないと判断される可能性があります。
②婚姻の真実性
配偶者ビザを取得したにもかかわらず日本にほとんどいなかった方、同居していなかった方(=別居していた方)などは疑いを持たれやすいので要注意です。※別居されていた場合は特に、専門家に相談しましょう。
犯罪としての偽装結婚はこの更新時の調査で発覚することも少なくなく、入管において徹底した調査が行われていることを示しています。
初回の申請時に交際歴が短かった方、年齢差が大きかった方などは慎重審査となる可能性が高いので誤解されないよう気を抜かず入念に準備しましょう。
③素行の善良性
退去強制にはならなかったけれども犯罪を犯した方、交通違反などの法律違反を犯した方などは素行が善良であるとは言えないため注意が必要です。
④前回の申請に虚偽がなかったか
生計要件を満たすために配偶者ビザ申請の直前に就職し、配偶者ビザが許可された途端にやめてしまった身元保証人などは要注意です。
⑤納税状況
課税証明書で世帯の収入額を、納税証明書で納税状況をチェックされます。
非課税証明書は収入が少ない場合に出る書面ですので要注意です。
1月1日の時点で住民登録をされていた市区町村役場から取得できます。まれに課税対象でないので書類を取得できないとおっしゃる方がおられますが、収入の多寡にかかわらず申告をすることで取得することができます。
配偶者ビザは何回も更新しなければならないの?
うん。順調にいった場合でも2回の配偶者ビザ更新の後に永住申請をすることが多いよ。
【解説】
在留資格の更新申請はまず、許可するか不許可にするかが決定されます。そして許可相当と判断されると、次に何年を許可するかが判定されます。
在留期間は更新申請のたびに1年→1年→3年と増えていくのが通常パターンですが、中には不許可となり帰国を余儀なくされたり、1年→6ヶ月と減ってしまう方、なんど更新しても1年のままである方など通常ルートに乗ることができない方も一定数いらっしゃいます。
在留期間が3年にならないと永住申請ができませんので、先ずはいち早く3年をもらうことを目指しましょう。そのポイントは次の項目でご説明します。
どうしたら配偶者ビザの在留期間が3年に増えるの?
3年の基準を満たすと3年になるんだけど、それじゃ答えになっていないからくわしく説明するね!
【解説】
配偶者ビザの在留期間が3年になるための条件は、消極的に定義されています。
消極的な定義とは、AでもBでもないものはCであるというような定義の仕方です。
入管の規則で配偶者ビザの在留期間3年が認められるための条件は、「5年、1年又は6月の項のいずれにも該当しない」こととされているのです。
とすると在留期間3年の条件を把握するためには、在留期間1年の条件をみる必要があります。
在留期間1年が許可される主な基準は次の通りです。
①家族構成、婚姻期間等婚姻を取りまく諸状況からみて、婚姻及び配偶者の身分に基づく生活の継続性を1年に1度確認する必要がある
②在留状況等からみて、1年に1度その状況を確認する必要がある
これらの条件に当てはまっていると「1年」とされますので何回更新申請をしても3年にはなりません。これらの状況でなくなった時、晴れて1年を卒業して3年になります。
その状況とはつまり、
①婚姻及び配偶者の身分に基づく生活の継続性を1年に1度確認する必要がないと認められるとき
②在留状況等からみて、1年に1度その状況を確認する必要がないと認めらるとき
です。
これらを立証することができないと、いつまでも1年が続くこととなるのです。
ただし1回目の更新で3年が許可されることはよほど条件に恵まれた一部の方のみですので、
1回目の更新で3年にならなかったからといってがっかりされる必要はまったくありません。
大学教授や医師、キャリア官僚などビザの窓口™のお客様には社会的地位のある方も多くおられますが、それらの方の配偶者でも初回の更新は「1年」であることが大半です。
何回目の更新かによって目標とか戦略はちがってくるの?
そうだね。表面的に要求される必要書類は同じだけど、得たい結果が異なるからね。
【解説】
1回目の更新目標
交際期間が長くお子様が生まれ、年収も1000万円を超えて上場企業にお勤めなど、条件が揃った方だとまれに1回目の更新で3年の在留資格がもらえる場合があります。
しかし圧倒的大多数の方は1回目の更新で許可される在留期間は1年です。
条件が良い方は手抜きをせずに書類作成をして3年を狙って行き、通常の方は手堅い申請をして1年の在留資格維持を目指しましょう。
2回目の更新の目標
目標は在留期間3年の獲得です。3年が許可されるための条件は先述のように「1年に1回、状況を確認する必要がないこと」です。
この条件成就が入管によって認められない限り何回更新の申請をしても1年が続くこととなります。
初回の申請(在留資格認定証明書交付申請又は在留資格変更許可申請)が許可されたことで婚姻の真実性の立証は済んだと思っていませんか?
また初回の時のようにいろいろ書類を集めるの?
そうなんだ。面倒だよね!
でもパートナーチェンジの方以外は質問書の提出は必要ないから初回の時よりもずいぶん楽に感じると思うよ!
【解説】
配偶者ビザの更新時にご質問が多い書面は次の通りです。
納税証明書・課税証明書
1月1日現在、日本の市区町村役場に住民登録をされていた方は日本人であるか外国人であるかにかかわらず、前年についての納税証明書・課税証明書を概ね6月以降に取得することができます。
ただし非課税の方は自ら積極的に申告をしないと非課税証明書を取得することができないのでご注意ください。
また申告してから1か月ていど経過しないと非課税証明書を発行することができないとする市区町村が多いです。
納期限が到来しているにもかかわらず納税していない未納額があると、納税する金銭的な余裕がなくまた順法精神もないと判断されるため大きなマイナス要素であり、また非課税証明書しか取得できない場合も収入が少ないことの証左なので要注意です。
配偶者控除の欄などもチェックされます。
身元保証書
身元保証書に記載されている身元保証人の職場が前回と同じであるかどうかが確認され、異なる場合は「転職」の事実が把握されます。
質問書
通常の配偶者ビザ更新の場合は不要です。
後述するパートナーチェンジの配偶者ビザ更新の際は、実質的に初回の配偶者ビザ申請となりますので必要となります。
日本人と離婚したパートナーと結婚しました。まだ前婚で取得した配偶者ビザの期間が残っているんだけど。
パートナーチェンジの配偶者ビザ更新は、配偶者ビザ更新の中でも最も難度が高い申請のひとつだから、かならず専門家に相談しようね。
まずは前婚の離婚を14日以内に入管へ届け出たか確認することから始めてね!
【解説】
パートナーチェンジとは、前婚を理由に許可された在留資格の期間内に離婚をし、その期間内に他の日本人と結婚をした後に在留資格の更新を申請することを言います。
形式的には更新申請となるものの、結婚相手の日本人が異なるため実質的にはゼロからの審査となります。
それだけでなく、これまでの在留状況が審査対象となるためかなりハードルが高くなります。
現有の在留期間が3年の場合
3年という期間のなかで離婚と再婚をされることはありうることなので必要以上に神経質になる必要はありませんが、3年の在留資格が許可されて直ぐに離婚をされた方は心証が極めて悪くなります。
この場合は、そもそも3年を許可すべきでなかった案件だからです。
在留資格が許可されて直ぐに離婚された場合には、離婚をすることが決まっていたのにそれを隠して在留資格を取得したのではないかとの入管の疑いをきちんと払拭しなければなりません。
3年の在留資格が許可されて1年経過したのちの離婚であればあまり大きな心配は要りません。1年の間に婚姻状況が悪化することはありうることだからです。
離婚から14日以内に入管にその事実を届け出たかどうかも確認の必要があります。期限内に届をしていない場合は入管法違反であり、在留資格の取り消しを免れているので要注意です。
現有の在留期間が1年の場合
1年という期間のなかで離婚と再婚をされることはそれほどあることではないので慎重な申請が必要です。
1年の在留資格が許可されて直ぐに離婚をされた方は心証が極めて悪くなります。この場合は、そもそも1年の在留期間を許可すべきではなく6か月を許可すべき案件だったからです。この場合には、離婚をすることが決まっていたのにそれを隠して在留資格を取得したのではないかとの入管の疑いをきちんと払拭しなければなりません。
1年の在留資格が許可されて半年経過したのちの離婚であればあまり大きな心配は要りません。半年の間に婚姻状況が悪化することはありうることだからです。しかしながらそうすると、今回の結婚の交際期間が極めて短いこととなるので、別の意味での不安材料を抱え込みます。
また離婚から14日以内に入管にその事実を届け出たかどうかも確認の必要があります。期限内に届をしていない場合は入管法違反であり、在留資格の取り消しを免れているので要注意です。
配偶者ビザの更新申請はだれに頼んだら良いの?
もし初回の配偶者ビザの取得を誰かにお願いしたのなら、その方にお願いするのが基本だよ。
なぜなら更新申請は前回や初回の申請と切っても切れないものだし、相互に矛盾があってはならないんだ。
でももしかしたら初回は自分で申請したけれどその後に問題が生じたとか、初回にお願いした先生に問題や不満があったかもしれないね。そんなときは僕がおススメしている行政書士がいいんじゃないかな。
東京のアルファサポート行政書士事務所なら、難しい案件については判例を引用するなど素人ではできない高度な申請をしてくれるよ。まずは検討してみてね。
行政書士 佐久間毅(さくま・たけし)
東京都出身。慶應義塾志木高等学校、慶應義塾大学法学部卒。高校在学中に米国コロラド州のイートンでホームステイ。大学在学中は、他大学である上智大学の国際法の権威、故・山本草二教授の授業に通い詰める。大学卒業後は民間の金融機関で8年間を過ごし、現在は東京・六本木でビザ専門のアルファサポート・行政書士事務所を開業。専門は入管法、国籍法。