国際結婚手続きが完了し、無事に結婚が成立した皆さま、おめでとうございます!!
次のステップはいよいよ日本の配偶者ビザの申請ですね!?
配偶者ビザの申請に必要な書類を準備するにあたっては、国際結婚手続きのときとは異なる注意点があります。
それは、入管にとっての必要書類と、許可されるために必要な書類とはまったく異なるという点です。
次の図を見てください。
国際結婚手続きも、配偶者ビザ申請も、役所に必要書類を提出するという行為は同じです。
しかしながら、日本先行の国際結婚手続きの場合は、日本の市区町村役場がそれを受け取った時点で「受理」となり、その瞬間に日本側の結婚が成立しますが、配偶者ビザ申請の場合はそうではありません。
入国管理局は受け取った書類をもとに「審査」をし、審査の結果、許可と不許可とに振り分けます。
したがって、入国管理局にとっては、許否の決定を下すための書類を要求するだけで足りますが、あなたはそれを額面どおり受け取ることはできません。
入管は、必要書類をもちいて許可と不許可に振り分けることが仕事ですが、あなたが必要書類を提出する目的は、許可されることなので、あなたと入管は「共通の目的」を有していないからです。「審査する」側である入管と「審査される側」であるあなたとは、正反対の利害を有しているとさえ言えるでしょう。
あなたの配偶者ビザ申請に弱点がある場合は、その弱点を補強する書面を必要書類として提出しなければ、「不許可」まっしぐらです。
当然のことながら、入管は「許可されるための必要書類」を教えてはくれません。あなたが許可されるためにアドバイスすることは、彼らの仕事ではなく、むしろ行政の公平性を保つ観点からもそれはできません。
あなたを許可させるためのアドバイスは、入管ではなく行政書士の仕事ですし、行政書士以外にそれを求めても期待薄でしょう。
以下では、日本有数の配偶者ビザのサポート実績をもつ東京のアルファサポート行政書士事務所が、
この図表にしたがって、「受理に必要な書類」と「許可に必要な書類」を分けてご説明します。
配偶者ビザ申請における入管が要求する書類というのは、あなたの現状を明らかにし事実をあぶりだす書類です。現状を明らかにしたうえで、入管は許可と不許可を決定します。
入管の審査官が必要とし要求するのは許可と不許可の「振り分け」に必要な書類であり、あなたが「許可」されるために必要な書類ではありません。
ここではまず、その入管が必要とする書類を見てみましょう。入管に必要な書類だからといって、手を抜くことはできません。
なぜならこれらをそろえることができなければ、そもそも配偶者ビザの申請を受け取ってもらえないからです。
1 在留資格申請書
※ 申請人の置かれている状況に合わせ、「在留資格認定証明書交付申請書」または「在留資格変更許可申請書」を準備します。
2 証明写真(縦4cm×横3cm) 1葉
※ 申請前3か月以内に正面から撮影された無帽,無背景で鮮明なもの。
※ 在留カードの写真としても使用されますので、スマートフォンでご自身で撮影するのではなく、証明写真用のボックスや写真館などで撮影しましょう。
3 配偶者(日本人)の方の戸籍謄本(全部事項証明書) 1通
※ 家族構成や結婚の事実を証明するために提出します。
※ 申請人のお名前が配偶者として記載されているもの。
※ 発行日から3か月以内のものを提出して下さい。
4 申請人の国籍国(外国)の機関から発行された結婚証明書 1通
※ お相手の国で結婚が成立していない場合は「跛行婚(はこうこん)」といって、お相手の母国ではお二人は他人同士であり独身のままです。お相手の国での結婚を成立させましょう。
5 配偶者(日本人)の住民税の課税(又は非課税)証明書及び納税証明書 各1通
※ 1月1日現在お住まいの市区町村の区役所・市役所・役場から発行されます。
※ 発行日から3か月以内のものを提出して下さい。
※ 非課税のかたは所得(年収・収入)が配偶者ビザの要件を満たすか確認しましょう。
※ 納税証明書が取得できない方は、その理由により対処法が異なります。
6 配偶者(日本人)の身元保証書 1通
※ 身元保証人には,日本に居住する配偶者(日本人)になっていただきます。
7 配偶者(日本人)の世帯全員の記載のある住民票の写し 1通
※ 個人番号(マイナンバー)については省略し,他の事項については省略のないものとするようお願いします。
※ 発行日から3か月以内のものを提出して下さい。
※ 申請人が留学生や就労ビザなどで日本に滞在している中長期滞在者の場合は、よほどのご事情がない限り、結婚後ですので、同じ住所に同居していることが必要です。
8 質問書 1通
※ 入管から追加書類を請求されてつじつまが合わなくなると最悪ですので、不利な状況もありのままを記載します。
※ 二人で住むには狭すぎる住居など、偽装婚を疑われかねない不利な事情については、ありのままを記載したうえで別途の対応をします。
9 スナップ写真(夫婦で写っており,容姿がはっきり確認できるもの)2~3葉
※ 偽装婚でないことを証明するために必要です。
入国管理局の審査官は、配偶者ビザを許可と不許可に振り分けるために書類を必要とします。しかしながら貴方は、許可を勝ち取るために必要書類を提出するわけです。
目的が異なる以上、入管にとっての必要書類と、あなたの目的実現に必要な書類とが同じはずはないことに、まずお気づきください。
日本の配偶者ビザ申請の審査においては、「収入」がとても大切です。ポイントは、申請の瞬間に「点」で収入があるのではなく、
許可された後も継続してその収入が安定的に持続することを「線」で証明することです。
住民税の課税証明書や納税証明書で、明らかに「継続性」と「安定性」に疑義が生じる状況の方は、積極的にカバーしなければなりません。
正社員であるとポイントが高いので、正社員であることを証明するために「在職証明書」を取得するかたも多いのですが、新設会社の正社員である場合は、会社の継続性と安定性が証明されていませんので、たとえ正社員であってもポイントは低くなります。
親族が経営する小規模な会社などにお勤めのかたも、利害関係人による証明になるため、発行される「在職証明書」や「給与証明書」などの書類の証明力は小さくなります。
日本人が勤務されている会社は、その実在や、規模、設立年月日などが、インターネット上で調査されているものとお考え下さい。
よく指摘されることですが、正社員だからといって一概に安心することはできないという意味はそのような意味です。
配偶者ビザの審査をとりあえずやり過ごすために、本当は勤める気がないのに、瞬間的に就職をしてお茶を濁そうとされる方がいらっしゃいますが、申請後に正社員なのか契約社員なのかアルバイトなのかを明らかにすることを求められることも多いので注意しましょう。
定期的なフローとしての「収入」のほかに、ストックとしての「資産」をお持ちの場合は、「不動産登記簿謄本」や「銀行の残高証明書」などを準備しましょう。
注意点は次の通りです。
・不動産登記簿謄本について
通常、不動産登記簿謄本を提出する場面というのは、2種類あります。
1つは、持ち家の所有を証明するためです。持ち家を所有していれば、賃貸の場合と異なり「家賃」がかからないので、その分収入が少なくて済む証明になりうる場合があります。
ただし住宅ローンの返済が完了していなければ、不動産登記簿の「乙区」欄でその旨が公示されますので、「家賃」の代わりに「ローン返済」していることは入管に明らかになります。
もう1つは、持ち家とは別に不動産投資として家賃収入を得ている、いわゆる大家さんであるケースです。この場合は、仮に銀行からの借り入れが不動産登記簿上明らかであっても、賃借人が支払う家賃と、あなたが銀行に返済するローン返済額の差額が、きちんと立証をすることにより、あなたの収入として認められます。
・預金残高証明書について
まず、「十分な預金である」と感じる額は、申請人の感覚と入管とでは差がありますので十分に気をつけて下さい。収入に不安を感じていらっしゃるかたが預金残高証明書をご準備されるケースが多いですが、藪蛇(ヤブヘビ)になるケースも散見されます。
また、両親などから一時的にお金を借りて自分の口座に入れ預金残高証明書を取得し、あたかも自分のお金であるかのように申請すると虚偽申請となります。申請後に「取引履歴証明書」の提出を求められると虚偽が発覚しますので、ご注意ください。
住んでいる住居が夫婦が結婚生活を送るにしては明らかに狭すぎる、一生を共にする伴侶を選ぶのに日本人は国の統計で平均して4年の時間をかけるが、それと比較して明らかに短い交際期間である、インターネット上でやりとりしている期間を交際期間に含めているなど、偽装婚を疑われかねない状況というのは様々あります。
やはり重視されるのは対面での交際歴です。したがって、これを徹底的に証明することが許可につながります。
対面で会う行為は、お金と時間を使いますので、これを数年にわたり積み重ねているということは真実の結婚である可能性が高く、ほかの条件を満たしているのであれば、入管も安心して許可することができます。
一方で、インターネット上のやり取りというのは、どれだけ積み重ねても、お金が1円もかかりません。飛行機代もデート代もまったくかからず無料です。
また、相手のために待ち合わせ場所に出かけていく時間も必要なく、スマホで空いた時間にメッセージを送信すれば足ります。
したがって、インターネット上のやり取りは、無いよりはあった方がもちろん良いのですが、時間もお金もかからない手軽なコミュニケーションであるがゆえに、偽装婚であっても積み重ねが可能なので、配偶者ビザの申請にあたってそればかりに頼るわけにもいきません。
行政書士 佐久間毅(さくま・たけし)
東京都出身。慶應義塾志木高等学校、慶應義塾大学法学部卒。高校在学中に米国コロラド州のイートンでホームステイ。大学在学中は、他大学である上智大学の国際法の権威、故・山本草二教授の授業に通い詰める。大学卒業後は民間の金融機関で8年間を過ごし、現在は東京・六本木でビザ専門のアルファサポート・行政書士事務所を開業。専門は入管法、国籍法。